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超ロバストとは何か?

分子計算機と超ロバスト

分子計算機は分子(DNA)を使った計算を実現しようという研究である。

DNAは半導体よりも小さなエネルギーで結合したり分離したりする。少ないエネルギーで動作する一方で、熱(熱揺らぎ)の影響が大きい。これをどう安定に、つまりロバストに動作させるかがカギになる。

I.DNAでAND回路を作る

DNAは、1本核酸の鎖ともう1本の鎖が(はしごの桁のように数箇所で)水素結合している。これを分子計算に使う。図はDNAで作ったAND回路の動作を示したもの。

ある1本鎖に対して2つの異なるDNAを入力として与える。 まず1つはこの1本の鎖の左側にくっつく(ハイブリダイゼーション。DNAの塩基配列について相補的になっているものだけがくっつく)DNA(図のfirst input)を入れる。これは左側から進入していって、図では赤と青でに書いてある部分とくっついて2本鎖を作る。すると、上側のDNAにくっついていたDNAは少しはがれる形になる。また、上側のDNAに1カ所あるループ(first bulge。茶色の部分)が開く。 このループは開かないと相補なDNAが近づいてもハイブリダイゼーションしない。つまりfirst inputのおかげでこの部分もハイブリダイゼーションできるようになる。

次に、右側に入り込む入力を与える。この絵の中では左下に書いた1本鎖(second input)がそれ。これは、先についていたDNAを右側から追い出して、上側のDNAとくっついていき、最後には完全に置き換わる。 もともとくっついていたDNA鎖は外れてどこかに飛んでいく。

つまりfirst inputとsecond inputの両方がそろった時だけ出力がある。ここがポイントで、論理回路で言うANDになる。

ただしsecond inputは上にあるDNAの右側の部分と完全に相補的になっているのではなくて、左端に少し余分に塩基を付けてある。この「ひげ」をつけておかないと、second inputだけで反応が起きてしまう。

実験的にはどうやって出力を確認するかというと、蛍光分子と消光分子(クエンチャー)を使う。この2つの分子は両方が近づいているとケイ光がでないが、離れるとケイ光が出る。これを上側のDNA鎖と、最初にこの鎖にくっ付いている下側のDNAに付けておけば、離れたときにケイ光を発するので、出力があったことが分かる。

最終的にはこれを多段(カスケード)にした反応系にしたい。つまりANDゲートで構成される回路を作りたい。

II.分子計算の定量的ロバスト化(DNA分子による回路の誤動作を減らす)

実際には、横軸に時間、縦軸に蛍光強度をとって、まず入力1を入れて入力2を入れると、グラフのようになる。

つまり、first inputを入れただけで少し出力がある(理論的には0になってほしい)。これはなぜか、いろいろ実験をしてみると、first inputが右側にから進入している気配がある。

DNA分子の反応は常に熱で揺らいでいる。そのため、相補的に設計されたDNAなのに、はじっこが少しはがれるときがあるらしい。その一瞬にfirst inputが進入しているらしい。

最近の実験では、second inputのひげを数塩基分短くすると、誤反応が減ることが分かっている。数塩基分を削ることで、DNAが反応する際のエネルギー・バリアが高くなったためと考えられる。確認するには、ちゃんと解析が必要になる。それにはDNAのエネルギー・モデルが必要だが、幸いなことにDNAは2次(元)構造については割りと正確なエネルギー・モデルがある。このモデルによる解析と、実験の結果がうまく合うかを調べて、より安定な動作をするDNAを設計する。これは定量的ロバスト化にあたる。

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